Rediscover Potentialな指導者たち vol.01 大妻中野中学校・高等学校 宮澤雅子校長

2017.01.10

子どもたちの1年は、大人の10年。「1年待たせない」改革!まず「やってしまおう!」この思い切りが学校のエネルギー。


弊社R.projectの合宿施設を使用してくださることでご縁を頂いた、大妻中野中学校・高等学校さん。 

弊社に関わってくださる先生方が、イキイキしていて、先生方ご自身がとっても楽しそう。そのような組織にはきっと底知れないポテンシャルが秘められているに違いないと、校長先生のお話をうかがってまいりました。


校長室の扉を開けると、物腰の柔らかい、優しい笑顔の宮澤雅子校長が迎え入れてくださる。

合唱部やダンス部は、コンクールの常勝校。大妻中野中学校・高等学校は、文部科学省から「スーパーグローバルハイスクール(SGH)アソシエイト」※の指定校となっている。


お話をうかがってまず驚いたのが、SGHアソシエイト認定までの道のり。

SGHに認定されるために必要だ!と感じたら、校長をはじめ、各先生がたが飛び込みで企業や大学にアポイントを取り、大妻中野の目指すものに賛同してもらうことで、プロジェクトを実践していったとのこと。

「どうしてもSGHに認定されたかったのです。そのためにはなんでもしようと決めました。もう髪振り乱して色々とね(笑)。そのひとつが博報堂さんとの取り組みです。日本を救う地域ブランド論について書かれた博報堂さんの本を読んで、これだ!と思い、文字通り飛び込みでアポイントを取りましたね。」

今では、博報堂さんの全面的なご協力を得て行う「地域の魅力を見出す」活動が徐々に活発化、まったく同じように飛び込みで協力をお願いした地元中野の企業、キリンホールディングスさんからも、企業の国際展開や女性の社会進出に関するレクチャーを受けている。
さらに、ノーベル平和賞を最年少で受賞したマララ・ユスフザイさんに関する読書感想文に取り組んだことから、インドに生まれ、向学心を諦めないで活動する同世代の少女と交流したり、西アフリカのブルキナファソ大使に公演していただく機会を持ったり…日を追うごとに活動は幅広く、奥行き深いものに進化しているという。

 

 
「博報堂さんとの授業風景

 

「世界は今、何を考え、どんなことを感じているか」ナマの声を受け取ることによって、生徒たちは世界の現実をよりリアルに、より身近に感じることが出来る。

「みなさんから『よく提携してもらえましたね』や、『よくほぼボランティアのような仕事を引き受けてもらえますね』とすごく驚かれるのですが、第一線で活躍する人ほど、国際社会における日本の現状に直面していらっしゃるので、日本が大変な立場になっているということがすごくよく分かっていらっしゃいます。するとグローバルな生徒を育てるためなら、と、みなさん快く協力してくださいます」
 
先生自らが、調べて、動いて、交渉して、まるで企業のよう。
それを象徴するように、「1年待たせない改革」を旗印として、実践している。

指導書には頼らない。教員たち自らが、調べる、行動にうつす、交渉する…そのプロセスはまるで企業のよう。積極的なスタイルを象徴するように、大妻中野では「1年待たせない」を改革のモットーとして掲げ、実践している。

 
「中高生の可能性は無限大。これを伸ばしていくのが大人の役目。子どもたちの1年は大人の10年に匹敵します。今、この1年が重要だからこそ、早くやらなくちゃ。まだ準備できていないから、もうちょっと慎重に、なんて言っていたら進めない。よくそんなに大胆に出来るわね、と言われることもありますけれど、まずやってしまおう!と決めて、そこからどんどん足りないところを見つけ、解決していくことにしています。」

 
タブレット端末や電子黒板の導入、Skypeを使ったセブ島の方々との1対1で話す毎週の英語の授業。
これも5年前にいずれこういう時代が来るからと、全教室にWi-Fi環境を整備する、という思い切った投資を実行した。

「校長は経営者だから。学校を明朗に運営して、存続させていくこと、そこをまず、強く意識しています。先生達の生活も考えなければならないし、きちんと先を読んで、投資して、利益をつくっていく。学校の宝は生徒と教員です。
生徒にとって、教員にとって素晴らしい環境であることが、学校として追求するべき利益なのだと思いますね。」
 

 
電子黒板を駆使する先生たち。「大変だけれど、生徒が驚いてくれるから、やりたくなる。

 

校長の下に先生が100人。
新しいことに挑戦するとき、校内の先生全員が賛成というわけではない。
そんなとき、校長は自ら先頭に立って挑戦する。

セブ島との英会話の授業を取り入れる時も、話せない英語をまずは、校長自ら恥ずかしい姿をさらけ出して、みんなの前で話せない英語に挑戦する。
それなら私もやってみよう、と他の先生も変わっていく。確固たる信念でものごとにぶつかるエネルギーは、必ず周囲の人間の心に響く。
心の動きは共鳴しあい、いつか大きなうねりに結びつく。本気の教育者、その存在が学校全体を勢いよく変えていくのだ。

「うちの先生たちは、この学校をよくしたい!子どもたちにイキイキしてもらいたい!いつもそんな風に考えて子どもたちを尊重する先生ばかりです。」

 
「新しいことにチャレンジしたり、改革したりしていくことはとても大変です。でも、生徒たちの嬉しそうな顔を一度見てしまったら、やっちゃうのよね!」
と、嬉しそうに語る宮澤校長から感じられるのは、どこまでも明るく、ポジティブな空気。
小柄な身体のすみずみまで、エネルギーがあふれているからこそ、宮澤校長の笑顔からは、前向きな光が感じられるのだ。
 

 

「セブ島の先生との1対1で行うオンライン英会話」

 

 「私はずっと勝負の世界で生きてきました」と語る宮澤校長は、東京芸大を卒業し、プロの演奏家として活躍する中で無理がたたり、身体をこわしてしまったそう。

そこに舞い込んできたのが、大妻中野で音楽を教えないか?という話。そこから教員生活がスタートし、音楽の授業を持つかたわら、合唱部の顧問として昨年まで、長く指導に携わってきた。

初心者ばかりで組織された合唱部が全国1位の夢を叶える、という、はかりしれない子どもたちのポテンシャルに驚きながら過ごされてきたそう。

 
合唱部。壁に描かれた標語「日本一になれ!とは言わない 日本一の努力をしよう!!

 

「子どもたちは不可能を可能にする力を持っています。
とっても難しい楽譜で、こちらは絶対に今の実力では無理だろうと思っていると、彼女たちはやりこなしてしまう。もうびっくりです。
やってみようと決めたら、努力と継続でやり遂げる。何かに挑戦したい、という意欲、そして、自分の進歩を認められたい、という達成願望が、人間にはもともと備わっているのかもしれません。
小さい成功体験をすると、こんな感動がもう一度味わえるなら頑張りたいと言って、どんどん高みへと登っていく姿を何度も目の当たりにしてきました。でも、関東大会に勝って最高!と思っても、全国で負けたら悲しい思いが残ってしまうものです。
永遠の喜び、というのはありませんから、関東大会に勝てた!よかった〜!という喜びを大切に、そうやって瞬間、瞬間を大切にすることが人生の喜びにつながっていくのだと思います。」
 

 

大妻中野中学校・高等学校 宮澤雅子校長

 

最後に、子どもたちのポテンシャルをどうやって引き出すのか?という問いに対し、「すべての子どもがヤル気のスイッチを持っています。色々な子どもたちがいるから、いつ入るのか、どうして入るのか、ストーリーもさまざまです。ですから、色々なヤル気のスイッチを作って、勝負できる場所を準備しています。」

 
勉強での勝負、掃除の勝負など、自分の好きな場所、勝負できる場所を学校生活の中にたくさん作っていく。
それぞれ得意なことが違うならその数だけ、勝負できる場を作ればいい。そこで生徒たちはそれぞれに成功体験を得て、明日への自信をふくらませる。


しかし、いい話ばかりではない。
深刻なトラブルも1年に1〜2回はある。

「私が相手の立場だったらどうかな?といつも考えます。真摯に、丁寧に、を重視しています。」と校長。「本音で接しているので、宮澤校長はブレない。」と一緒に働く先生方も語る。


自らを「勝負の世界で生きてきた」と語る宮澤校長は、とても自然体。心と体ひとつで、良いと思ったことに突き進む、とても美しい瞳の持ち主でした。

 

※「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」

文部科学省によって平成26年度から開始された、高等学校等における、国際社会で活躍するグローバル・リーダー育成を見すえた取り組み。生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け,将来,国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ることを目的とした事業。SGH事業の構想をより多くの学校に広めていく観点から,グローバル・リーダー育成に資する教育の開発・実践に取り組む高等学校等を「SGHアソシエイト」として位置付けている。SGHアソシエイト56校(国立2校,公立24校,私立30校)
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